飛鳥時代に誕生。オーラルケアの歴史について

現代では当たり前のように浸透しているオーラルケアだが、それが世界で初めて発祥した時期となると、紀元前にまでさかのぼる。当時は指に麻の繊維を巻きつけて口の中を掃除したり、小枝や堅い草を爪楊枝代わりにして歯に詰まった食べ物を除去していたといわれている。
その後、日本で初めてオーラルケアが行われるようになったのが飛鳥時代だ。仏教の開祖として知られるお釈迦様が、オーラルケアを戒律のひとつとして取り入れたのだ。仏教徒たちはオーラルケアが心と体を清めることにつながると信じ、それを習慣化した。
ちなみにこの時代に使われていたのは、小枝を細かく噛んで房のようにした歯木というものだ。

江戸時代になると房楊枝というアイテムが生み出された。これはやわらかい小枝の先を細かくすいたもので、歯に付着した汚れを落とすのに効果があったそうだ。房楊枝は多くの庶民に受け入れられ、大正時代になっても使用されていた記録が残っている。
また、上流階級の武士の中にはカーブ状になっている小枝を使って舌を磨いている人もいた。つまり歯だけでなく舌もキレイにする習慣は江戸時代に誕生していたのだ。

しかし、これらのアイテムはすべて手作りだったため、粗悪なものも多く、オーラルケアが習慣化されたことでかえって口の中の状態が悪化してしまったという事例もある。不備のないアイテムを正しく使わなくては効果が得られないという点が、今も昔も変わらないオーラルケアの常識なのだ。