看護師が行うオーラルケア

オーラルケア、つまり口腔内のケアは、歯科医師だけが指導、治療を行うものと思っている人も多いが、そのようなことはない。オーラルケアは、病院の入院病棟や介護施設においても重要な意味を持っており、看護師や介護士などもオーラルケアの技術や知識を身に着けることは重要だ。
オーラルケアは、単に食後に口の中をきれいにして虫歯を防ぐためのだけに行われるものではない。口腔内の衛生状況は、様々な疾患に大きく影響しているのだ。口腔内を不衛生のまま放置すると、免疫機能の低下による全身の感染症につながる可能性があるほか、誤嚥性肺炎や経口摂取維持困難といった事態になりかねない。このような事態を防ぐためにも、仕事で正しくオーラルケアを行うことは重要なのだ。

そのため、歯科以外にも、循環器や消化器など様々な診療科の人々がオーラルケアの重要性に注目している。看護師がオーラルケアをする際には、口腔内を歯ブラシで磨けばよいというものではない。口腔内が乾燥していれば、保湿を行い、適切な口腔環境を維持することが、オーラルケアで必要なことだ。
そのため、入院患者などに行うオーラルケアは毎日行う必要があるうえに、細菌数が繁殖すると考えられる4時間間隔で行うことが望ましいとされている。そして、これらは継続して行うことで効果が発揮される。オーラルケアを行う際には、まず口腔内の観察を行い、そのうえで体位を調節してからブラッシングを行う。粘膜や舌のケアも行って洗浄する、最後に唇の保湿などを行って終了だ。

これらのオーラルケアは、当たり前だが歯科医師が詳しい。病棟や介護施設などでは、医療チームの中に歯科医師が混ざり、オーラルケアを看護師に指導しつつ疾患治療を行うというところも増えてきている。