オーラルケアやデンタルケアという言葉はよく耳にするが、両者を同じ意味合いで使っている人が少なくない。厳密に言えば、オーラルケアとデンタルケアの意味には違いがある。
オーラルケアとは口内衛生のことで、健康のために行う口腔内ケア全体を指す。歯みがきやマウスウォッシュ、デンタルフロスや歯間ブラシ、舌磨きなど口内を清潔に保つケアはすべてオーラルケアだ。また、歯の健康を保つための歯石除去やフッ素の塗布、歯列矯正などもオーラルケアに含まれる。
病院や介護施設では、患者や高齢者のQOL向上のため、オーラルケアにより関心を向けつつある。特に歯周病は血管の動脈硬化、高齢者にとっては誤嚥性肺炎などを誘発することが昨今の研究で明らかになっている。こうした健康被害を防ぐためにも、患者のオーラルケアが重要だ。
オーラルケアが口腔内全体のケアを指すのに対し、デンタルケアは歯と歯茎のケアを指している。虫歯の治療と予防、ホワイトニング、口臭対策などはオーラルケアであり、デンタルケアの一環でもある。
自分の歯で食物を味わうには、20本以上の歯があるとよい。そうすれば、入れ歯を使わなくても食物を味わうことができる。
ところが、日本人は歯科先進国の欧米諸国と比べオーラルケア不足であることが否めない。80歳を過ぎても、20本以上の歯が残っている人の割合がかなり低いのだ。正しくオーラルケアを行えば、高齢になっても自分の歯で食べる喜びを得られる。